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縣 秀彦『面白くて眠れなくなる天文学』(PHP研究所)
 天文現象に関するまめ知識を教えてくれる読みやすい本。
 三大流星群 1月しぶぎん座流星群、8月ペルセウス座流星群、12月ふたご座流星群は、いずれも彗星の軌道上にある。ペルセウス座流星群の母天体はスイフト・タットル彗星で太陽の周りを130年周期で公転している。
 
 月の表面の黒い部分は海と呼ばれている。静かの海、晴れの海、雨の海、雲の海、豊穣の海など。アポロ11号が1969年に着陸したのは静かの海だった。月の誕生については現在では天体同士の衝突というジャイアント・インパクト説が有力。
 
 北極星は、地球の歳差(首振り運動)により移動する。地球の自転軸は2万6千年周期で首振り回転している。現在の北極星はこぐま座α星であるが、1万1千年後にはこと座α星ベガになるとみられる。その時代人類はどうなっているかわからないが…
 
 夜が暗いのはなぜか?長年それは謎とされてきた。もし、宇宙に無数の星があるなら夜も空は星の光で明るく輝くはずなのにどうして暗いのか。因みに見かけの明るさで肉眼で見える明るさは6等星までといわれている。快晴で澄んだ夜空ではおよそ3000の星が見えるという。また、それとは別にその星の明るさを示す絶対等級とは、星を32.6光年の距離に置いた時の明るさをいう。太陽は絶対等級では5等星にあたるから星のなかでは特に明るい方ではない。ところで、宇宙にはそれこそ無数の星がある。しかしある遠さ以上の星の光はもはや輝いてはいないのだ。宇宙の膨張によって遠くの星ほど速い速度で遠ざかっていて、光はドップラー効果の赤方偏移によりその波長が赤外線を超えて伸びていきやがてマイクロ波という電波になってしまって視覚ではまったくとらえることができないものとなる。もしマイクロ波まで見えれば夜空は明るいということになるが・・・。
 
 オリオン座の赤い一等星ベテルギウスは近い将来超新星爆発で消えてなくなる可能性がある。もっともそのレンジは100万年以内という天文学的レンジだが、明日という可能性がゼロだとはいえない。しかし、実際明日爆発としてもベテルギウスまでは640光年あるから私達が人類が見られるのは640年後ということになる。
 
 火星と地球と太陽が一直線に並ぶのを衝というが、これには小接近と大接近があり、小接近は9900万キロで、大接近は5500万キロで2018年は大接近が楽しめる。
 
 おおいぬ座のシリウスとこいぬ座のプロキオンとオリオン座のベテルギウスを冬の三角形という。
 スバル、おうし座の赤い目玉の一等星アルデバランから少し右上、おうし座の背中に星が寄り集まっているのがスバル。M45ともよばれる散開星団。
 
 6600万年前にメキシコのユカタン半島に直径10キロメートル程度の小惑星が衝突して恐竜を絶滅に導いたとかんがえられている。地球に衝突する可能性のある小惑星やスペースデブリは決して少なくはない。大半は大気圏で燃え尽きてしまうものではあるが、地上まで到達するものもたまにある。国際スペースガード財団は国際協力によりこうした地球に衝突する可能性のある小惑星や彗星などの小天体の監視活動を行っている。
 
 土星の輪は氷の粒子の集まり。薄いところでは3メートルくらいしかない。地球から見て輪が水平になった時は輪が消えてしまうのだ。
 
 月と地球までの距離は40万キロ〜36万キロで、この36万キロのときに満月となるといつもよりやや大きいフルムーンとなる。
 
 オリオン座の三つ星のすぐ下に見えるぼんやりとした雲のようなものがオリオン大星雲。ここから星が次々と生まれてくる。
 
 太陽磁場はおよそ11年周期で活動が変化する。磁場の捻れが極大化すると太陽フレアが発生する。フレアが発する強力なX線が地球に届くと地球から磁場が乱れ通信障害を起こすことがある。
 また、太陽黒点が増えると温暖化傾向がみられる。反対に太陽黒点がすくないと寒冷化する。
 
 地球上の水素、ヘリウム以外の元素は太陽系が誕生する以前におそよ20回くらい起きた起きた近辺の星の超新星爆発によってつくられたものと考えられている。太陽系の中にも地球以外の火星や木星、土星の衛星には生命が存在できる可能性もある。しかし知的生命体が太陽系内に存在する可能性はほぼゼロである。系外惑星にはその可能性は十分ある。系外惑星における知的生命体の探求は世界各国でおこなわれている。フランク・ドレイクやカール・セーガンはその先駆者。
 
 太陽光が地球に届くまでに8分19秒かかる。この距離を「一天文単位」という。
 1光年の距離は9兆5000億キロメートル、時速6万キロで飛行する世界最速のボイジャーが40年で達した距離は約200億キロで、4.22光年にあるもっとも近い恒星プロキシマ・ケンタウリに到達するまでにおよそ6万年かかるとみられている。もちろんそれまで機材が存在したとしての話だが間違いなく機材は消滅してしまうだろう。
 
 太陽系の最外縁はオルトの雲と考えられている。長周期彗星の巣といわれるオルトの雲までの距離は太陽と地球の間の距離のおそよ1万倍もあるとみられボイジャーが到達するまでにあと2000年もかかることになる。
 
 宇宙はおよそ137億年前にビッグバンにより誕生したと考えられているが、ビッグバンから約38万年後に原子は原子核と合体して光が外部に放射されるようになった。これを宇宙の晴れ上がりという。その時の光はマイクロ波として宇宙に放射されている。電波望遠鏡はそれを「宇宙背景放射」としてとらえている。ラジオをつけると雑音が聞こえくるが、この雑音がそのマイクロ波でもある。
 
 宇宙を構成しているもののうち物質のもとになる元素はおそよ4.9%しかないという。その他はダークマター3割とダークエネルギー7割といわれる。ダークマターは重力を持ち、それはアインシュタインの予言通り重力レンズという現象によりその存在が証明されたといわれている。ダークエネルギーは重力とは逆の斥力を持っていると考えられている。まだその存在すら確認されていないが、エドウィン・ハッブルによって宇宙の膨張が観測され、宇宙には引力とは逆の斥力が働いていることは間違いなくそれをとりあえずダークエネルギーと呼んでいる。
 
 現在までのところ最も遠くの銀河は132億光年とされている。宇宙誕生から6億年後に銀河は誕生していることになる。
 
 NASAの彗星探査衛星スターダストは2006年に彗星の塵の入ったカプセルを地球にもたらした。その塵を分析したところそのなかにアミノ酸のひとつである「グリシン」という物質が含まれていることがわかった。生命体はたんぱく質でつくられており、そのたんぱく質のもととなるアミノ酸が彗星にも含まれているとしたら、宇宙空間にもアミノ酸が存在していること示している。
 
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